不動産取引において出てくる書類は契約書だけではありません。
売主様は不動産を売却した場合、領収証の発行も必要になります。
不動産取引は金額が大きいため、紙の領収書による保存は証拠としても重要で一般的でした。
前回、電子契約書についての記事でも書きましたが、デジタル化の流れを受けて契約書だけでなく領収証の電子化も注目を集めており、個人・法人の不動産業者を問わず、電子領収証を導入する企業やオーナー様も増えています。
今回は領収証の電子データ化について利便性や導入の注意点をみていきます。
売買取引の額が大きくなると、印紙代も大きくなります。
例)物件価格2億円
・手付金1,000万円
・残代金1億9,000万円
この場合、国税庁HPに記載された印紙税負担額によると下記の印紙税が発生します。
・手付金領収証発行時:2000円
・残代金領収証発行時:40,000円
印紙代は発行者が支払うので、そのまま売主様の負担となります。
電子データで領収証を発行した場合、上記の印紙代はかかりません。
その他紙での印刷、郵送のコストも削減することができます。
保管に関しても紙だと紛失や破損のリスクがつきますが、電子データとして保管すればバックアップも取ることができるので、紛失・破損のリスクも減らすことができ、保管も容易になります。
過去の領収証でもすぐに検索して確認することができるので、業務効率も向上します。
非常に便利な電子領収証ですが、法的有用性を確保するためには電子契約書と同じで改ざんや上書きがされない事(真実性の確保)と保存された電子データが容易に検索し出力・表示できる状態にある事(可視性・検索性の確保)が必要です。
上記は電子帳簿保存法に基づく方法です。少しややこしく書いてありますが実務ではPDFで発行すれば問題なく電子領収証として有効です。
支払は多くの場合振込によるため領収証の発行は必須ではないですが、相手側から求められれば発行する必要があります。
買主側の金融機関や税理士による見解もありますのですべての取引を電子データで送付できるわけではないですが、できるだけお客様の負担にならないように取引できればと思い、弊社では電子データを有効利用しております。
今後のデジタル技術の発展により利便性もさらに高まり、環境保護の観点からも導入は進んでいくことでしょう。