築古アパートの売却事例~再建築で収益性アップのご提案~

当社ではアパートなどの一棟収益物件を売却する際、ただ物件の収益性を押し出すだけでなく、将来的な出口戦略や活用法についてのアドバイスも含めた売却活動をおこなっています。

特に築古物件の場合は、貸主様は将来的に物件の建て替えを検討される可能性もあります。そのため、そもそも再建築が可能なのか、可能な場合はどのような物件であれば建てられるのかをご提案することで、売主様にとっても買主様にとっても満足のいく売却活動につながると考えています。

今回は実際に当社がお預かりした2棟の築古アパートを、再建築によって収益性アップが見込めることをご提案した事例をご紹介します。

川崎区大島三丁目デザイナーズ


オーナー様からお預かりしたのは、デザイナーズリノベーション済み・築64年の2階建て木造アパートと、築55年の2階建て鉄骨アパートの2棟です。利回りは13.13%と非常に高く、通常の不動産会社であれば「利回りの良さ」のみを売りにして販売活動をおこなうような物件です。

しかし当社では、お預かりした時点で利回りが高い物件であっても、物件の将来性にも目を向けた販売活動をおこなうことが重要だと考えています。お客様のご要望に合わせて再建築する場合のプランの作成や、収益物件としての運用シミュレーションもご提供可能です。

〇再建築プラン(例)

〇公図

お預かりした物件について調査したところ、アパートを取り壊して再建築をおこなう場合は約16㎡のセットバックが必要な土地であることがわかりました。セットバックを確保したのちの有効宅地面積は87.63㎡(26.55坪)です。

土地2筆の合計土地面積:103.63㎡
再建築時のセットバック面積:約16㎡
再建築時の有効宅地面積:103.63㎡-16㎡=87.63㎡(26.55坪)

次に建蔽率に目を向けると、元々は80%の土地ではありますが、RC造(耐火建築物)を建築する場合は建蔽率が90%に緩和されることがわかりました。さらに敷地の前面道路は幅員1.8m(4m未満)ということで、容積率を計算すると240%になります。

建蔽率:80% → 90%(耐火建築物を建てる場合)
容積率:前面道路の幅員4m×低減係数0.6×100=240%
1フロアあたりの面積:有効宅地面積87.63㎡×建蔽率90%=78.87㎡
建築可能面積:78.87㎡×240%=189㎡

つまりお預かりした段階では2階建てだった物件が、RC造に再建築することで2階建ての収益物件に生まれ変わるということです。(高さの制限により4階建ては建てられませんでした)

【参考プランの見込み収益】
上記を参考に3階建ての収益物件を建てた場合の見込み収益は、下記のようになります。

101号室(21.54㎡)67,000円
102号室(21.54㎡)67,000円
201号室(21.54㎡)73,000円
202号室(21.54㎡)73,000円
301号室(21.54㎡)73,000円
302号室(21.54㎡)73,000円
月額収益合計 426,000円
年間収入合計 5,112,000円

また物件を建て替えるには大きな支出が伴うため、再建築後の利回りを含めたシミュレーションもおこないました。

お預かりしたアパートが建つ2筆の土地は、積算価格の合計が3,500万円でした。
さらに上記の3階建て収益物件を建てる場合、当社で見積もりを取った結果、解体に1,800万円・建築に6,800万円かかることがわかりました。

もし買主様がアパート2棟と土地を購入して新しい収益物件を建て替えた場合、上記の数字をもとに再建築費用と再建築後の利回りを計算すると下記のようになります。

支出合計:12,100万円
=土地代3,500万円+建築費6,800万円+解体費1,800万円
利回り:4.2%
=年間収益511万円/12,100万円土地代を除く場合
支出合計:8,600万円
=建築費6,800万円+解体費1,800万円
利回り:5.9%
=年間収益511万円/8,600万円

仮に買主様がこの土地付きのアパート2棟を5,480万円で購入した場合、購入後すぐに解体・再建築をおこなうと、年間収益511万円・利回り4.2%の収益物件になります。
さらに購入から10年経った時点での解体・再建築で、土地の残債が0円だった場合は、年間収益は511万円と同じでも、利回りは5.9%と1.5%以上もアップする計算です。

収益物件の売却においては、たとえ利回りが目を見張るほど高い物件であっても、築年数の古さから嫌煙されることも少なくありません。しかし今回ご紹介した事例のように、再建築による収益性の向上や将来的な運用について具体的なプランをご提示することで、売主様・買主様の双方にご満足いただける売買契約に繋げることが可能です。

 

まとめ

リオ・トラストが今回ご紹介したような、ただ売却するだけではない売買を成し遂げられるのは、日々の業務で賃貸経営に欠かせない入居者管理・建物管理に真摯に向き合っているためです。収益物件の特性をよく理解しているからこそ、お預かりした物件の賃料や利回りをアップさせて高く売却するという、売主様にご満足いただけるようなご提案が可能なのです。

これからも蓄積した経験・知識・ノウハウをもとに、土地1筆1筆に秘められたポテンシャルを最大限に生かせるようなご提案をしてまいります。

賃貸併用住宅に限らず、収益物件の売却や土地の活用法など不動産に関してお困りのことがありましたら、ぜひお気軽にリオ・トラストまでご相談ください。