マンション購入を検討しているとき、借地権という言葉を見たり聞いたりすることがあると思います。
借地権付きのマンションは一般的な所有権マンションと違い期限が決められていたりと仕組みがあるので購入の際に注意が必要です。
しかし、どういった物件なのかを理解できていれば、居住用としても投資用としても上手に扱うことができるでしょう。
市場で見る借地権付きマンションのほとんどが「定期借地権」のことなのでここでは定期借地権つきマンションを中心に借地権付きマンションとはどういうものなのかを見ていきます。
まず初めに借地権とは何を意味するのでしょうか?
借地権とは一言で、建物の所有を目的とする「地上権」または「土地の賃借権」のことをいいます。
「地上権」は他人の土地を使用する権利で、「土地の賃借権」はその名のとおり不動産売買において他人の土地を借りる権利です。
「地上権」も「土地の賃借権」も借りているもので、借りられる期間が決まっています。
「地上権」のほうが土地の賃借権よりも借りる人にとって有利で強い権利です。そのため地上権が設定されていることは少なく、ほとんどのケースで借地権は「土地の賃借権」であることが多いです。
さらに「土地の賃借権」である借地権は「普通借地権」と「定期借地権」に分けられます。
「普通借地権」は建物が存在している限り永久に借りることができますが、「定期借地権」は土地を借りられる期間が決まっています。
そして、マンションについている借地権のほとんどが契約の更新を前提としない「定期借地権」なのです。
契約を更新しないので、基本的に期限が過ぎたら土地を更地にして地主に返さなければなりません。
せっかくマンションを買ったのに最終的に土地を更地にして返さなければいけないというマンション所有のイメージとかけ離れた定期借地権マンションを購入するメリットは何でしょうか?
その一つとして、通常の所有権マンションを購入するよりもだいたい2~3割ほど安く買うことができます。
一般的な所有権マンションはその価格に土地の値段も含まれています。定期借地権付きのマンションだと土地を購入するわけではないので、その分安くなるのです。
税金面でも固定資産税や都市計画税が建物の部分にしかかからず土地の分は負担する必要がないので、安くなります。
そして、好立地にある所有権マンションは高額になりすぎて手が届かないケースも少なくありません。
しかし、定期借地権付きのマンションであれば都心の一等地などの好立地にあるマンションでも相場より安くなっていますので、費用を抑えて都心の一等地に住むことができます。
不動産投資の視点で見ても借地権付きのマンションは価格が安いため、高利回りになる傾向があります。
立地が良い場所にあるものは特に高い家賃を設定しやすいので、高収益を見込めます。
比較的費用を抑えられる定期借地権付きのマンションですが、避けられる要因となるデメリットもあります。
定期借地権付きマンションは期限がきたら更地にして地主に返さなければなりません。居住用として使用しているのであれば、将来的に住み替えのために新たに物件を探さなければなりません。
土地も借りているものなので通常の賃貸と同様に地代を毎月支払わなければなりません。さらにマンションを取り壊す費用として「解体準備金」を積み立てていく必要があります。
ローンも借地の残存期間までしか組むことができないので購入の際に注意が必要です。
購入後に売却したくなっても、土地の権利がないことや期限付きで退去しなければならないことに不安を感じる人も多くなかなか買い手がつかず、売却も所有権マンションに比べハードルが上がります。
以上のことから定期借地権付きのマンションは不動産を所有したいというよりも、利用したいと考える人に向いている物件です。ライフステージに合わせて希少性の高いマンションに住み替えたいと考える方や不動産を二つ以上持っていて期限までの投資もしくは居住用にしたいという方も選択肢の一つとして視野に入れておくのも良いかもしれません。
しかし購入の際には居住用で使うのか、投資目的なのか、売却する可能性も含め良く検討する必要があります。
定期借地権は1992年に登場した制度で最低期間が50年としなければなりません、つまり最短で満期となるのが2042年となり「更地返還」を迎えた定期借地権付きマンションの前例はありません。比較的新しい制度なのでゴールを迎える動向も注視していきたいところです。