プロパンガスの三部料金制とは?(続報)

前回7月にご案内させて頂きました「LPガスの料金制度」について、7月24日の経済省作業部会にて、今後の対応方針を示したとの発表がありました。
非常にタイムリーな内容の為、続報として共有させて頂きます。

LPガスの料金制度は誰が決めているのか?

LPガスの今後の料金制度については【作業部会】で決定しました。
正式名称は、以下の通りです。
「第6回 総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 石油・天然ガス小委員会 液化石油ガス流通ワーキンググループ」

■議事次第
(1)商慣行是正に向けた対応方針と実効性確保の方策
(2)消費生活相談におけるLPガス相談の現状
(3)賃貸集合住宅における実効性確保に向けての提案

委員名簿には、青山学院大学総合文化政策学部 教授 を座長として、テーエス瓦斯/TOKAIホールディングス/トーエル/日本瓦斯 といった大手LPガス会社が参加されています。

何が決まったのか?

今回は、オーナー様に特に知っておいて欲しい
【(1)商慣行是正に向けた対応方針と実効性確保の方策】に焦点を当てて、ご案内します。

(商慣行是正)①
LPガス事業者は、賃貸集合住宅又は戸建ての消費者とガス契約を自己と締結させることを目的として、賃貸集合住宅のオーナー又は戸建ての消費者等に対し、正常な商慣習を超えた利益を供与してはならない

⇒ ガス利用と直接関係ない設備の費用を上乗せすることを禁止する方針です。

つまり、今までオーナー様がLPガスを導入する際に、ガスコンロや給湯器などガス周りの設備以外に、エアコン・ウォシュレット・テレビモニタ付きドアホンなどの設備を設置してもらい、入居者さんのガス代に上乗せすることを禁止するという事です。

(商慣行是正)②
賃貸集合住宅のオーナー又は戸建ての消費者等との間で、LPガス事業者の切替えを制限するような条件を付した貸与契約等を締結してはならない

⇒ 入居者によるLPガス事業者の切り替えを制限するような条件で、住宅オーナーが契約を結ぶことも禁止する方針です。

つまり、LPガス会社Aが契約を10年間縛るようなことが出来なくなり、オーナーが好きなタイミングで他社に変更が可能になるので、中古の物件を購入した際に、LPガス会社を変えれなくて困ることが無くなります。

この①②の是正により、今までオーナーがLPガス会社を使うメリットが少なくなる代わりに、入居者からしてみたらガス代以外にプラスで支払っていた部分を払わなくて良くなるのでメリットは十分にあるでしょう。

守らないとどうなるのか?

国による取り締まりを強化するため、罰則規程のある条文に明確に位置付けしました。
⇒ 報告徴収/立入検査/勧告/基準適合命令/命令に違反したときは登録取り消し/
30万円以下の罰金

三部料金制の徹底 ※前回(2023.7月)の記事をご参照ください。
⇒ 賃貸集合住宅における配管、給湯器、エアコンなどの設備、賃貸向けガス料金については基本料金、従量料金とし、消費設備費の計上を禁止

事前説明の努力義務
⇒ LPガス事業者に対して、入居希望者が賃貸借契約を締結する前に入居希望者に直接又は貸主、不動産管理会社、不動産仲介業者等を通じて、当該住宅のガス料金等を提示するよう努力義務を課す。

2027年度から施行予定

現状は、まだ作業部会が内容を詰めているところではありますが、2027年度からの施行予定で動いているようです。

(経過措置)
・公布の日から起算して3月を経過した日から施行
・施行日以降の新規交渉、既存契約の延長禁止(遡及適用せず) ・配管については、家主に所有権を保有させるよう商慣行を変更していくべきか、今後の検討が必要

経産省は2024年度中にも液化石油ガス法の省令を改正し、27年度からの施行を目指す方針です。
是正されれば月額で数千円安くなる可能性があります。

ただ、すでにガス料金に組み込まれている既存の契約をいかに分離するか注視が必要となります。

(委員意見)
ガス代が不当に高く、家賃が不当に安いという問題があって、そのガス代を家賃に戻す作業もあるので、必ずしも消費者が支払う額が減るってことにつながるわけではない。取引として正すということである。本来は経過措置を作らず、3部料金制をすぐ入れて設備のところに当面はそこまで入っています、と明示する等こういうやり方でアプローチして、ルールをシンプルにしないといけない。

■参考URL
第6回 総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 石油・天然ガス小委員会 液化石油ガス流通ワーキンググループ