タンクレストイレの悲劇

先日、当社購入の賃貸併用住宅(現在は、全室賃貸中)で管理会社変更通知をご案内した所、設備に関して不具合があるとの事でお問い合わせを頂きました。

人気の「タンクレストイレ」は建物の設備によっては十分な水圧を確保することが出来ず、汚物を流しきれない、水圧が低い等の問題が起きる場合があります

今回はそんな当社の経験談をお話しさせて頂きます。

入居者様からクレームがありました

発端は、管理会社変更通知です。

貸主/管理会社の変更に伴い、各入居者への周知の為ご案内文章を送付いたしました。

送付後、1週間が経過した頃、当社コールセンターに設備不具合の内容で以下のご連絡がありました。

<内容>
3階建てのテラスハウスです。
入居時から3階のトイレの流れが悪く
ペーパーを流すと最後まで流れ切らず残ってしまいます。
・1階のトイレの流れは問題ない。
・トイレの止水栓は全開か→全開
・フィルター汚れ確認済
・トイレのタンクないタイプ
・水の流れを調整できるボタン「6リッター」
「8リッター」まで調整できるが、調整しても改善しない。

リオトラストの対応は

すぐにメーカー問合せを実施した所、
以下のような返答がありました。

ストレーナーの掃除は実施していますか?日常のお手入れを適正に実施されているか確認下さい。

皆さん、ストレーナーのお掃除はしたことありますでしょうか?
(そもそも、ストレーナーって何でしょうか)

私自身、分譲マンションで10年ほど暮らしておりますが、「ストレーナー」外したこともありません。

外せるものとも知りませんでした。

皆様も、お掃除の仕方をご確認の上、是非一度お試しください。

入居者様に対応してもらったが…

早速、メーカーさんから聞いたことを入居者様に伝えました。
そうすると下記のような連絡が届きました。

<内容>
いつも大変お世話になっております。
実はストレーナの清掃、確認は実施済なのです
写真は撮影していないですが、非常に綺麗な状態でした。
只、せっかく外したので一応、洗浄いたしました。

しっかりとした入居者様でした。
当社コールセンターには、「清掃実施後に改善しない場合は、現地調査を依頼」と指示出ししておりましたので、速やかに業者の手配から入居者へのアナウンスまで完了しました。

メーカーからの回答は…

早速、メーカー様に現地調査していただき、調査結果が届きました。

<処理内容>
動水圧測定。

簡易測定にて水量測定いたしました所、タンクに貯まる水量が10秒で2.1L

この機種に必要な水量は10秒で3L必要です

製品不具合ではなく、トイレまでの水量が不足しております。弊社では対応できないため、ご依頼元様にて対応をお願いします。

機器の不具合ではなく、設備の問題との事でした。

水量不足が原因

早速、施工会社に確認した所、以下の見解となりました。

こちらの建物は、直圧直結給水方式(配水管の圧力で水を送る)を採用
・配水管の圧力が不足している為、一定時間内に3階のトイレに送る水量が不足

水量が体内場合の対応策

・水量が足りない場合の対処は、以下の2点となります。
1)タンクレス ⇒ タンク付き へトイレ交換
2)増圧ポンプを設置し、水量を上げる

1)「タンク付き」にする事で、
時間に縛られることなく必要水量が確保可能です。
その一方、今までタンクレスで受けてきた恩恵
(節水効果/連続の使用/お手入れ)が無くなります。

2)増圧ポンプを取り付けることで、
一定時間内の水量確保が可能です。

既存の設備を交換することなく対応できる一方、
スペース(増圧ポンプをトイレ奥または側面に設置可能)と、デザイン性(タンクレスのスマートさ、手入れ)に課題が発生します。

今回の修繕対応

今回、ご入居者様には「スペースの関係からタンクレスのまま増圧ポンプの追加設置」とお伝えし、ご了承を頂きました。

現在、施工業者と入居者様とで工事日時の調整を実施させて頂いております。

(料金比較)

トイレ交換の場合の相場は、グレードにもよりますが15万円~20万円の費用が発生します。
今回の増圧ポンプ追加工事費用は、15万円

グレードさえ問わなければトイレ交換と増圧ポンプ追加では費用差は大きくありませんでした。

まとめ

賃貸併用住宅(戸建ての場合含む)の3階部分については、設計段階より水量の確保が可能か検討が必要です。

水圧・水量に不安がある場合については、3階部分については、「タンク付き」のトイレ(または増圧ポンプの事前設置)をご検討された方が良いかと思います。

また、メーカーによっては内蔵タンクから加圧された水を流す「ブースター」が設置されている機種もございます

本課題とは別となりますが、管理会社変更案内を早期に実施する事で入居者発信の設備不良についても事前把握(旧所有者での対応)ができる為、決済前でのご案内も一つの対策かと感じました。