告知事項のある物件の売却方法

不動産オーナーにとって、保有物件内で入居者様がお亡くなりになる事は大きな悩みかと思われます。

そういった不幸があった場合にその物件を売却するとなると、「安くしないと売れないのではないか」「事故物件として扱われるのではないか」と不安に感じられる方もいらっしゃることでしょう。

弊社でもそういった事案で売却相談いただいた物件がありましたので、今回は弊社がいただいた物件を例に告知事項のある物件の売却方法、告知事項についてご紹介していきます。

1:物件状態

物件のご相談いただいた時点で一般媒介契約の4社が売却の広告をしており、ポータルサイトへの広告も無秩序にされていて1つのポータルサイトに20社以上が掲載している状況でした。

また、その中の数社の広告では本来アピールポイントを入れるべきタイトル部分に「告知事項あり」と大々的に記載されており、不動産購入を検討している方が見た場合「告知事項ありの売れ残り物件」という印象がついてしまうような掲載状態でした。

2:物件告知のテコ入れ

弊社が売却をお手伝いさせていただくにあたり、提案させていただいた内容です。

・広告掲載量を減らす。
まず物件のイメージを戻すために告知事項ありと記載をアピールポイント部分に入れている掲載業者に広告を削除するように依頼、数十社あった広告から3~4件程度に減らし広告制限をかけることでイメージ回復を図りました。

・本当に告知事項に該当するかの見極め
国土交通省のガイドラインによると「事件性のない不慮の死が発生した場合は原則告げなくてもよい」との記載があります。

また、仮に自然死以外の死亡事故が発生した場合も、賃貸取引においては発覚後、概ね3年が経過した場合は告げる必要が無いことが記載されています。

今回のケースでは収益アパートでしたので、購入者にとっては賃貸募集がスムーズにできず相場での賃料収入が見込めないことが懸念事項となります。

「病死であること・発覚から3年以上経過していること」を考えると賃貸募集を行う上では告知する必要がないため、賃貸募集に関しては影響がなく売買取引においても特段取り立てて言うほどではないと判断しました。

もちろん、告知事項に当たらないとしても知っている事実なので、契約後にトラブルにならないよう購入検討者には現地をご案内の際にご説明を行いました。

3:結果

以上を提案し弊社で募集を開始したところ直ぐに5件の問い合わせがありうち3件の方から申込をいただきました。

多数の不動産業者に依頼をすることで責任の所在がはっきりせず、掲載内容のコントロールができていないこと、告知事項に関しての知識不足のため載せる必要のない文言によって物件の価値を大きくさげていたことが要因で申込みが決まらなかったものと思われます。

少しの工夫や見せ方により物件の価値を損なわず、売却をすることが可能となります。

他にも売却にお困りの物件などありましたら、弊社にお気軽にお問合せください。

【参考】
国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」
ガイドラインの概要