先日、築古の区分マンション(空室)をお預かりしました。
賃貸募集~客付後に売却を検討されているオーナー様で、残債は0円です。
間取は1Kの為、「実需」よりも、「オーナーチェンジ」の方が、需要は高いと判断し、賃貸募集を実施しました。
賃貸、売買ともに同じ建物で競合が多数いる場合において、「高く売却」する為に、「高く貸す」施策を実施しました。今回、賃貸付けの施策および募集進捗を確認頂く事で、出口を検討するご参考になればと思い、皆様に共有させて頂きます。
売却にあたり、査定を進める中で同じマンション内で売買・賃貸ともに複数の募集があることが確認できました。
それぞれどういった条件で出ていたか見ていきます。
【売買:募集条件】1988年築/5階建て/エレベーター無し/オートロック有/ネット無し
1)オーナーチェンジ
家賃:46,000円 600万円 (利回り:9.2%)*賃貸管理引継条件有り
登録年月日:半年前
2)オーナーチェンジ
家賃:46,000円 850万円 (利回り:6.5%)
登録年月日:1ヶ月前
3)オーナーチェンジ
家賃:48,000円 670万円 (利回り:8.59%)
売買で出しているライバルに打ち勝つには、利回りも考慮し46,000円/月 以上で賃貸する必要があると考えました。
【賃貸:募集条件】1988年築/5階建て/エレベーター無し/オートロック有/ネット無し
1) 4階 家賃:42,000円+5,000円 敷0礼0 AD:200 (1ヶ月経過)
2) 2階 家賃:42,000円+3,000円 敷1礼0 AD:無し (3ヶ月経過)
3) 4階 家賃:42,000円+3,000円+1,010円 敷0礼0 AD無し (5ヶ月経過)
4) 1階 家賃:43,000円 敷1礼0 AD:100 (レインズ外)
平均して43,000円~47,000円での募集があり、46,000円でも半年近く空室の為、苦戦が予想されます。
最寄りや沿線に大学があり、繁忙期は成約が期待できますが、閑散期は厳しい戦いが予想されます。
学生、社会人(20代)、外国籍が主なターゲットととなります。
新規募集にあたり、「通常募集」とともに「付加価値を付けた募集」を実施しました。
具体的には、「インターネット込み」・「家具家電付き」をオプションとして準備して、1部屋に対して広告枠を3枠利用しての募集です。
イメージとして、『ホテルの宿泊プラン』の賃貸版となります。
ホテルも、シングル・ダブルといった広さに関係するプランだけではありません。
「素泊まり・朝食付き」はもちろん、「映画見放題」「クオカード付」など、部屋のタイプは同一で複数の選択肢があります。
特に、「クオカード付」に至っては、会社規定料金内のビジネスホテルを予約する時の利用者の動機付けには効果が高いオプションとなります。
今回の「オプション」で、社宅を利用する場合はどうでしょうか?
(例)社宅規定=家賃条件5万円以内で、入居者様の個人負担2万円の場合
① 通常募集:46,000円の部屋を契約後、個人でインターネット契約:4,000円を契約した場合
<個人負担分の計算式> 20,000円(社宅利用料)+インターネット代:4,000円 =24,000円の個人負担
② インターネット込み:50,000円の部屋を契約した場合
<個人負担分の計算式> 20,000円(社宅利用料)+(インターネット込み) =20,000円の個人負担
入居者様にとってネット込みのほうが割安になるので、アピールポイントになりますし、同建物がインターネット無料物件ではない為、他募集との差別化ができます。
全国賃貸住宅新聞のアンケートでも、「周辺相場より家賃が高くても入居が決まる、付加価値の高い設備」として「インターネット無料」が第1位に挙げられています。
賃貸募集でも、「高速インターネットかどうか」が判断材料となる中で、今回の提案は貸主が利用者に代わって加入するプランの為、訴求が高いと判断しました。
オプションは準備できましたが、貸主の追加出費や売却時の弊害になるばあいは、本末転倒です。
(インターネット)
設備としてNTT光マンションタイプ対応物件であれば、当社提携会社:入居サポートセンター特典にて月額3,960円(税込)で利用いただける「賃貸ねっと」https://chintainet.jp/ が提案可能。
初期費用は事務手数料3,300円、土日祝日に工事を行った場合別途3,300円が必要となります。
・契約者と利用者が別でも対応可能
・売却時、契約を引き継ぐのではなく別途新オーナー様の契約が必要
(家具家電)
4,000円×24ヶ月=96,000円+AD50分 の予算で、リサイクル4点セット(TV・TV台、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ)の設置が可能。別途、違約条項で残存分の請求は可能(特約盛り込み)
施策が決まりましたので、業者間サイトと一般顧客用のポータルサイトに掲載しました。
それぞれのオプションごとの閲覧数をまとめたものが下記の表です。
業者、一般顧客共に、通常募集>インターネット込み>家具家電付きの閲覧数でした。
業者閲覧のみ詳細を検証すると、ネット込みを設定したことで閲覧数が25%分増加した形となります。
今回結果としては、客付け業者からの通常募集での個人申し込み(入居者でネットを別途契約)となりました。
客付け仲介に理由を確認した所
「入居者自身がインターネットを契約すると、キャッシュバックや2ヶ月無料といった恩恵があり、契約の手間を比較して入居者自身でネット契約する判断になった。」
⇒個人契約時には、商品設計上、インターネット会社が打ち出しているサービスとの比較検討が必要と感じました。
とはいえ、広告枠を3件利用しての露出となり、募集開始から14日で申込に至りました。
売却(オーナーチェンジ)においては、他と同条件の賃料水準に至りましたので、改めて売却戦略を考えていきたいと思います。