近年非対面でやりとりが一般化し、弊社でも売買契約の電子契約が増えてきています。
2022年5月の改正宅建業法により不動産取引においても電子契約が解禁となり、電子契約締結を行う割合も増えてきました。
従来の紙での締結の場合は売買契約においては平均4~5種類の取り交わし書面を2部ずつ発行する為、かなりの数の署名欄に住所と氏名の記名、押印や割り印が必要でした
こういった本雑な手続きを電子契約書は解消することができます。
2019・2020年の新型コロナの影響もあり感染防止策として緊急事態宣言やリモートワークの推奨があり電子契約もそれにあわせて不動産業界でも利用されるようになってきました。
本来、「契約」自体は口頭でも成立しますが契約書を作成するのが一般的です。
電子契約ではこの契約の証拠となる契約書を電子ファイルで作成します。
紙の契約書とは違い印鑑を押すことは出来ないため電子署名やタイムスタンプといった技術で代用します。
これにより改ざんされていないことを証明し、紙の契約書と同じ法的有用性を担保することができます。
電子契約の場合、下記のようなメリットがあります。
・原本が電子書面となる為複数部数作成不要、手続きの簡素化につながる。
通常紙の契約の場合は何部も手書きで書いて頂き、大事な実印を持ち出してサインを頂きますが、電子書面への入力、電子印鑑を押印することで締結手続き完了となりますので、時間や場所にかかわらず締結手続きが可能となります。
・電子契約書は印紙不要の為、印紙税が発生しない。
電子契約書は非課税文書扱いとなる為、現行の法律では印紙税の負担不要です。仮に物件価格5,000万円以上1億円以下の取引の際は印紙代が1部につき3万円かかる為、契約当事者の方には大きく出費を抑えられます。
・データ保管ができる為かさばらない。
紙で契約した契約書類をスキャンして電子データで保管している方も多いのではないでしょうか。複数物件を保有されている方だと尚更、不動産関連の書類で1部屋埋まっている、という方もいらっしゃいます。
電子契約の場合、電子サイン後、完了データをダウンロード、電子データが原本となりますので、紙での保管は不要です。
出典:全宅連ハトサポサイン
誰が電子署名にサインし(システムログ)、いつ押されたか(タイムスタンプ)を確認できる為、
紙の契約書より改ざんされていないことが証明しやすいと言われています。
電子契約は多くの業界で取り入れられており、宅建業法改正をきっかけに不動産取引でも電子契約は利用されつつあります。
IT環境が整っているか、声が聞き取りやすい適切な場所で締結に臨んでいるか、相手方が電子契約を拒否していないか、などまだまだ電子契約を一般化するには課題もある為、
不動産業界での電子契約普及率は高くありませんが、今後確実に電子契約に遭遇する機会は増えてくると思います。
電子契約が主流になれば契約のために集まるなどの手間が省け、遠隔地からの手続きも多くなり不動産の流通性も増していく可能性もあります。
今後も社会全体の電子契約の流れには注目しておいたほうがよいでしょう。