収益不動産における修繕と保険にまつわる話~令和5年度宅建士試験の合格発表を受けて~

先日、令和5年10月15日に実施された宅地建物取引士試験の合格発表がありました。

今年の合格点は前年と同じ36点、合格率は前年より0.2%上昇して17.2%でした。芸能界からも合格報告が相次ぎ、川崎希さんやザブングルの加藤さんが合格したというニュースを目にした方も多かったのではないでしょうか。

宅地建物取引士という資格は、不動産取引に関する正しい知識を持っているということの証明にもなります。当社でもオーナー様に安心して賃貸経営をお任せいただけるよう、今後ともスタッフの教育や研修に力を入れてまいります。

宅建試験で問われた修繕までの期間

さて、今回のオーナー通信のテーマは、オーナー様に深く関係する建物の修繕について。令和5年宅地建物取引士試験で出題された問題を元にお話しします。まずは実際に出題された問題を見てみましょう。

上記の選択肢のうち、正解は2番。
「Aが必要な修繕を直ちにしないときは」の部分の「直ちに」が誤りです。

民法においては、借主が貸主へ修繕が必要であることを通知したにもかかわらず、貸主が「相当な期間内に」必要な修繕をおこなわない場合、借主は自ら修繕をおこなえると定められています。そしてその修繕にかかった費用は、借主から貸主に対して請求できるという内容です。

「相当な期間」とはどの程度を指すのか

しかしここで、民法上想定される「相当な期間」とはどれくらいの期間のことを指すのか?といった疑問が生まれます。

具体的な日数が明記されておらずあいまいではありますが、賃貸物件の修繕の場合は7日程度と認識されるのが一般的です。

ただし、選択肢4番のように「急迫な事情があるとき」に関しては、「直ちに」修繕していいこととされています。

急迫な事情の例としては、水漏れが挙げられます。水漏れを放置すると、自室だけでなくほかの部屋にも被害が拡大する可能性があるため、借主の許可なしに修繕をおこなうことが可能です。

水漏れに対する借家人賠償付き火災保険の保証範囲

せっかく水漏れの話が出てきましたので、賃貸経営をおこなうオーナー様にもぜひご理解いただきたい火災保険についてもお話ししておきましょう。

賃貸借契約を締結する際、借主が借家人賠償付の火災保険へ加入すること必須としています。これは室内で発生した水漏れにより、万が一ほかの貸室が被害を受けてしまった場合の復旧費用を補償してもらうためです。

例えば洗濯機のホースが外れていた、浴槽や洗面台の下から水があふれていたといったケースがありますが、発見が遅く下の階に水が漏れだしてしまっても、借家人賠償付き火災保険に加入していれば保険金が支払われます。

では、オーナー様が購入した物件に入居者が入る前に、オーナー様の過失により階下に漏水してしまった場合はどうなるでしょうか。

この場合は、入居者がいない=借家人賠償保険付き火災保険に加入している人がいないため、代わりに個人賠償責任保険が適用されます。

オーナー様が加入する個人賠償責任保険

個人賠償責任保険は多くの場合、物件を購入する際に火災保険のオプションとして契約するものです。

個人賠償責任保険は、建物の火災保険だけでなく、自動車保険やクレジットカードの保険のオプションにもあります。そのため「どこかのタイミングで加入しているだろう」と思い込んでしまい、いざ漏水が起きた際に「実は入っていなかった」ということも少なくありません。

また個人賠償責任保険はすべて同じ内容というわけでなく、保証の限度額もそれぞれ異なります。特にクレジットカードの保険にオプションで付けた場合、上限額が少額で、漏水に対応しきれない可能性もあるので注意が必要です。個人賠償責任保険に限らず、加入中の保険は定期的な見直しをすることをおすすめします。

保険の見直しもぜひご依頼ください

オーナー様によってはすでに複数の保険に加入されていて、本当に必要な保険はどれなのか、所有する物件に万が一のことがあった際にどれくらいの保証が受けられるのか、いまいち把握できていないという方も多いと思います。

リオ・トラストでは保険の見直しのご提案もおこなっております。ご自身が加入している保険の内容がわからない、補償額が十分か不安という方は、一度保険証書をご持参のうえ当社までご相談いただければと思います。