今回は、全国賃貸住宅新聞が2025年8月~9月に実施した入居者アンケート結果をもとに、今後の賃貸市場で需要が高まる設備についてご紹介いたします。
全国の不動産会社を対象に実施されたこのアンケートでは、入居者が重視する設備ランキングが明らかになりました。結果は以下の通りです。
1位:宅配ボックス(各戸にひとつ、冷蔵機能付きを含む)
2位:インターネット環境
3位:エアコン(複数台設置、全室設置を含む)
4位:防犯設備(防犯カメラを含む)
5位:IoT設備(スマートホームハブを含む)
この結果をもとに、オーナー様が今後の物件運営で意識すべきポイントを整理しました。
かつては「あると嬉しい設備」だった宅配ボックスとインターネット環境ですが、今やこれらは水道や電気と同様の「生活インフラ」へと昇格しました。
宅配ボックス:非対面受取という「新しい生活様式」
堂々の1位に輝いた宅配ボックスは、単身者や共働き世帯を中心とした「自宅で荷物を受け取れない」という慢性的なストレスを解消する切り札です。
特に近年では、冷蔵機能付きや各戸設置タイプへのニーズも高まっています 。
入居者にとって再配達の手間を省けるメリットは計り知れず、物件選びの際の「決定打」となるケースが増えています。
オーナー様にとっては、宅配ボックスの設置が入居付けのスピードアップに直結し、長期的な空室リスクを低減させるための最も有効な投資の一つと言えるでしょう 。
インターネット環境:速度と安定性が生命線
2位のインターネット環境については、「無料なら何でも良い」という時代は終わりました。
リモートワークやオンライン学習、高画質動画配信サービスの日常的な利用により、入居者は「高速かつ安定した回線(光回線やWi-Fi完備など)」を求めています。
家賃に一定額を上乗せしてでも、高速インターネット導入済みであることをアピールできれば、競合物件との大きな差別化になります。
逆に言えば、通信環境が脆弱な物件は、それだけで検討の土台に乗らないリスクを孕んでいるのです。
3位にランクインしたエアコンは、日本の過酷な気候環境において、生命維持に関わるほどの重要設備です。
「全室設置」が標準化しつつある
特筆すべきは、リビングだけでなく寝室などを含めた「複数台設置・全室設置」が求められている点です。
特に築年数が経過した物件において、古いエアコンがそのまま放置されている、あるいは一部の部屋にしか設置されていない状況は、入居者の心象を大きく損ねます。
早期の更新が収益を守る
オーナー様にとって、エアコンの新規設置や更新は決して安くない出費です。
しかし、このコストを惜しんで入居機会を逃す損失と天秤にかければ、その投資効果は極めて高いと言えます 。
地域の気候や間取りに応じた適切な空調計画は、賃料維持と入居率向上のための「守りの要」です。
入居者の快適性を担保することは、結果として長く住み続けてもらうための最短ルートとなります。
4位の防犯設備と5位のIoT設備は、物件の付加価値を高め、特定のターゲット層に強く訴求するための「攻めの設備」です 。
防犯設備:長期入居を生む安心感
防犯カメラ、オートロック、モニター付きインターホンなどの防犯設備は、特に女性や単身者の入居者にとって必須に近い条件となりつつあります。
セキュリティへの配慮は「安心・安全」という目に見えない価値を提供し、物件の資産価値そのものを底上げします。
安心して暮らせる環境は退去率の低下に繋がり、安定経営に寄与します。
IoT設備:次世代のスタンダードを先取り
スマートロックや遠隔操作可能な家電連携などのIoT設備は、現時点では普及途上ですが、若年層やテック感度の高い層には強烈なフックとなります。
「スマホで鍵を開けられる」「外出先からエアコンを操作できる」といった体験は、他の物件にはない明確な差別化要因です。
初期投資はかかりますが、入居者にとっての利便性や物件の差別化に直結するため、中長期的には導入メリットが大きいと言えるでしょう。
将来的な需要拡大を見越して段階的に導入することで、コストを抑えつつ競争力を手に入れることが可能です。
今回のアンケート結果から、入居者が求める設備は「利便性」「快適性」「安心・安全」の3つに集約されることがわかります。
特に宅配ボックスや高速インターネットは、今後ますます重視される設備であり、物件の魅力を左右する重要ポイントです。
オーナー様におかれましては、入居者ニーズを的確に把握し、設備投資の優先順位を見極めることが賃貸経営の成功につながります。
初期費用や維持費を考慮しつつ、宅配ボックスや防犯設備などの導入を検討されることで、長期的な入居率の向上や物件価値の維持につなげることが可能です。
「とりあえず現状維持」ではなく、時代の変化に合わせて物件をアップデートしていく姿勢こそが、賃貸需要の厳しい競争を勝ち抜き、長期にわたって安定した収益を確保するための鍵となります。
ぜひ今回のデータを、次なる投資判断の材料としてご活用ください。


