事務所利用・SOHO利用の賃貸は、通常の住居賃貸とはまったく別物です。
住居であれば「住めるかどうか」という個人の許容範囲で判断されますが、SOHO(事務所兼住居)となると基準は大きく変わります。
ここで働けるか・お客様を迎えられるか、という視点が強くなるため、環境・匂い・住民構成・導線・使用目的など、判断軸が格段にシビアになります。
問い合わせ自体が少ないうえに、精度の高い案内とイメージ共有が必要になるのがSOHO特有の難しさです。
今回、SOHO(事務所兼住居)利用をご希望のお客様をご案内した中で、改めて「住居契約とは異なる難しさ」と「SOHOならではの強み」の両方を実感しました。
オーナー様にも共有しておくことで、今後の募集戦略に役立てていただければと思い、体験談をまとめています。
まず前提として、SOHO利用を希望される方は多くありません。
住居のように幅広い層が対象になるわけではなく、その人が「どこで働くか」「どの環境が業種に合うか」という条件でフィルターがかかるため、母数は大幅に絞られます。
しかし、これは裏を返せば、お客様側も「選べる物件がなくて困っている」状態ということです。
そのため、他との比較検討が起きにくく、条件さえハマれば驚くほどスムーズに決まります。
今回のケースも、他エリアや他物件との比較では条件が合わず、「このエリアでSOHO可能」という時点でかなり優位に働いていました。
その「条件がハマる」ための鍵が、住居とは異なる視点への対応です。
お客様はそこを「安らぐ場所」ではなく「利益を生む場所」として見ています。
「お客様の導線は確保できるか」「共有部の雰囲気は自社のブランドに合うか」こうしたビジネス視点でのチェックが入ります。
ですが、イメージを共有できれば、SOHO希望者はそもそも選択肢が少なくなりがちなため、「働くイメージが合う」「内装の使い勝手が良い」などわずかでもプラス要素が揃えば、一気に前向きになります。
実際今回のご案内でも、設備の配置や、搬入・使用可能なものなどを具体的に示すことで、相手の表情が明確に変わりました。
SOHO契約は、より“未来をイメージさせること”が鍵だと強く感じました。
現場で最も痛感したのは、「五感」、特に「匂い」が契約を左右する決定的な要因になることです。
あるご案内した物件では、前回の入居者が使用していたであろうスパイスの匂いが残っていたこともあり、それが気になったようで、説明を尽くしたものの払拭しきれず、最終的には匂いの一点で別部屋に確定されました。
スパイス系の匂いなどもしっかり換気ができていれば解消できる可能性が高い問題ですので、この一点で選択肢から場外されてしまうのはもったいなく、こちらとしても残念でした。
SOHO希望者は「本当にここでやっていけるか」という不安を抱えており、「管理は大丈夫?」「トラブルが起きたらどうするのか?」など、強い口調で質問される場面もあります。
今回、私は寄り添いすぎた結果、「この担当者は全部受け入れてくれる」という誤解を生んでしまいました。
そして、必要な場面で“NO”を伝えた瞬間、強い反発が返ってきてしまいました。
これが今回の大きな反省点です。
今回、関係を修復できたのは、相手の言葉を拾えたからでした。
「お客様が不安なように、オーナー様もどんな人が入るか『不安』なんです」と、相手の「不安」というキーワードを使って返しました。
こちらとしてもこれ以上のルール変更を求められる状況では契約を進めて大丈夫か不安がある、と伝えると、相手が腹落ちし、関係性が対等に戻りました。
入居希望者が最も多く使うワードは、すんなりと受け入れられやすく、そのまま関係整理の“鍵”となります。
SOHO契約を一言で表すなら、「住む契約」ではなく「働く未来を描く契約」です。
働く姿をイメージできるかどうか、お客様を迎える導線を想像できるかどうか、そして匂い・環境・住民構成など、細やかな部分が判断に直結します。
SOHO希望者は住居希望者よりもリスクが強く、判断基準が厳しい一方で、「ここなら働ける」と未来を描けた瞬間に大きく前進します。
そして何より特筆すべきは、SOHOは母数が少ない分、条件がハマった時の“決まりやすさ”は住居以上に強いという点です。
相手のワードからヒントを得ることで、相手に理解を伝えやすくなり、関係性が整うことも体験しました。
専門用語なども拾えれば、改めて広告を出す際にそのワードを使ったアピールもできるなとも思いました。
今後もオーナー様・入居者様双方にとって納得のいく契約ができるよう、現場で得た学びを活かしてまいります。


