プロパンガスの三部料金制とは?

先日、新規管理物件の立ち上げに際して、プロパンガス(以下LPガス)業者と打ち合わせを実施しました。

その際に、国の審議会で話題になっている「三部料金制」について、その概要を伺いました。

消費者保護法の規制が厳格化する中で、賃貸への影響が出ないよう備えておくべき部分もありますので、共有させて頂きます。

LPガスの基礎知識

LPガスは、都市ガスとは異なり自由料金制です。

料金携帯、価格構成や地域間格差などもありどこの業者と契約するかによって料金が大きく異なります。

その中で、料金制には、【最低責任使用料金制】【二部料金制】【三部料金制】があります。

最低責任使用料金制は、ある一定の使用量までは固定料金で超えた分は従量料金となります。
スマホの【定額パケットプラン】をイメージすると分かりやすいかもしれません。
全体の9.6%ほどしか採用されていません。

現在は二部料金制が主流(全体の88.2%)で①基本料金②従量料金の2つに分かれています

三部料金制の普及率は2.2%と多くないですが、二部料金の①基本料金の内訳を1-1:基本料金」と、「1-2:設備利用等料金」に細かくわけているのが特徴です。

無償貸与契約

昭和40年頃より政府が国策として「都市ガス」の普及を図る中で、LPガス販売事業者が生き残りを図る為に、

屋内配管、ガスメーター、固定器具などの設備を無料で貸し出しする販売手法(無償貸与契約)を実施しました。

近年では、競争の激化に伴い「給湯器・エアコン・モニターホン」も無償貸与されています。

発生課題

このLPガス設置することで発生している課題としては下記のような事があげられます。

・ガス配管工事費や上記設備費用が入居者が支払う「毎月のガス利用料金」にプラスして請求されています。

・LPガスの切り替えが行われることは、居住者とLPガス事業者との契約締結を強制されることになります。

検討背景

液石法:液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の改正(平成9年4月施行)により、料金制度の透明性を向上させるため、料金の構成やそれに含まれるサービスの内容を、消費者にわかりやすく示すことが新たに義務づけられました。※ LPガスは、電気・都市ガスなどの認可料金と異なり、ガソリンや灯油などと同様に自由料金です。

また、「液化石油ガス流通ワーキンググループ(第5回):令和5年5月11日(木)開催」において、無償貸与・貸付(無償)配管という商慣行を背景に、LPガス事業者間の過当競争等により消費者が不利益を被っている現状を是正し、地域のエネルギーとして重要な位置づけを維持するため、LPガス料金の透明化に資する取引の適正化に向けた今後の方向性について、議論が行われました。

三部料金制とは

三部料金制とは、ガスの料金形態のひとつで、月々の使用料金が三つにわかれているのが特徴です

① 基本料金
ガスの消費量の多少に関係なく1軒に生じる固定的な費用

② 設備利用等料金
二部料金制では基本料金に含まれている設備利用費等料金を別立てにした費用
・集中監視システムの利用料
・ガス漏れ警報器の利用料
・ガス消費設備(配管、給湯器等)など販売店から借り受けている場合の費用
・その他修理費用等、一般的な費用など

③ 従量料金
ガスの使用量に応じてかかる費用
・ガスの原料費
・ガスの配送費などになります

二部料金と比べると項目が増え、料金が高くなった印象を持ちますが、二部料金の基本料金を詳細に分けている為、透明性が高く、長い目で見れば二部制から三部制に変わっていく流れになるかもしれませんが、まだ積極的に三部制を採用しようとする会社は多くないようです。

業者さんに話を聞くと大手が二部制から三部制に切り替えるタイミングで、その他、中小企業も切り替えていくのではないかという見解のようです。

料金制度の割合

料金制度には、二部料金制(88.2%)、三部料金制(2.2%)、最低責任使用料金制(9.6%)、複数料金制などがあり、現在は、二部料金制が主流となっています。

(将来的に想定される影響)

【無関係な消費設備】
過大な販促活動を抑止するため、国・県・市区町村が明確な基準の作成や立入検査等を実施するかもしれません。
(ガス料金への組み込みができなくなる可能性が想定されます。)

【賃貸の募集】
家賃/管理費/駐車場等の同様にLPガスについても「設備利用等料金」を明記する必要が発生するかもしれません。

【事前説明】
ガスの開栓立会い時、または賃貸の重要事項説明時において、「現行の料金制度」や「LPガス事業者変更リスク」の説明が必要になるかもしれません。

業界の捉え:面談時の話として

面談した担当者の見解としては、以下のような話がありました。
・ まだ、積極的に三部料金制を採用しようという動きはなく、大手ガス会社が舵を切り、それに追随する形で中小会社が対応していくのではないか
携帯電話の0円端末が禁止されたように、ガス料金についても国が競争を阻害する恐れがある行為については、禁止するのではないか

※参考出典
財団法人 エルピーガス振興センターHP 料金形態
全国LPガス協会 国の審議会における資料等について(お知らせ)