賃貸経営を始めるにあたり賃貸需要が高ければ、空室になるリスクが下がるため、安定した家賃収入を期待できます。
賃貸需要は反響数・反響率からも割り出すことができ、アットホームではこうした反響数・反響率などを独自のデータベースで集計しており毎月賃貸動向をまとめたものを不動産会社に公開してくれています。
このデータを参考にしながら反響数・反響率について見ていきます。
是非参考にしていただき多角的な視点から賃貸需要を調べ、物件選びや賃貸経営に役立てていってもらえればと思います。
不動産業界で使われる反響数とは、スーモやアットホームなどのポータルサイトにアクセスした顧客から、そこに掲載されている物件について問い合わせや資料請求が入った数を指し、反響率はそのアクセス数に対しての反響数(問い合わせ)の割合になります。
不動産の賃貸仲介は顧客からの問い合わせや反応をもとにして営業活動を展開していく反響営業がほとんどです。
そのため物件の反響数・反響率は重要な指標になります。
反響率が高い物件は気になっている人が多く賃貸需要があるということになり空室リスクが下がります。
この反響率は「サイトのアクセス数÷反響数(問い合わせ数)×100=反響率%」の計算式で求めることができます。
アットホームでは毎月この反響数・反響率に関して都道府県のエリアごとにグラフでまとめたものを公開しているので、その一部をご紹介します。
グラフは東京23区の反響数・反響率のグラフです。
※2018年1月~12月の平均値を100とした場合の指数
ここでは反響数と反響率にのみ着目します。
東京23区の反響数は例年通り急上昇しており、過去3年で一番高い水準です。
反響数が上がる時期も12~1月頃へと少し前倒しになってきています。
しかし、反響率は2018年と比べてもそうですが、徐々に下がってきています。
反響数が上がっているのに、反響率はむしろ基準値を下回って下がっているのは不思議に感じますが、具体的な数字に置き換えると分かります。
例えば、100のアクセス数に対して反響数(問い合わせ)が5だと反響率は5%です。
200のアクセス数に対して反響数が10でも反響率は5%ですが、200のアクセス数に対して反響数が8だと反響率は4%になります。
反響数は5→8と上がっていますが、全体のアクセスも上がっていますので反響率は5→4%に下がることになります。
つまり、反響数が上がって反響率が下がっているということは、ポータルサイトにアクセスはしていても問い合わせ(反響数)までつながる確率(反響率)が下がっているということを表しています。
反響率が下がっている要因としてどのようなことが考えられるでしょうか?
反響数自体は増えていますが、それ以上に分母であるアクセス数が増えており問い合わせまで行かず情報だけ見て終わっている割合(反響率)が下がっているという状況です。とはいえ分母のアクセス数が増えているのでポータルサイトで物件を探す人は増えており、情報検索のツールとしてよく使われるようになっているのが見て取れます。
また、家賃相場も上がっているので希望の価格帯で希望の設備に住むことができず、ニーズとのマッチポンプが起きているというのも考えられます。
個別の要因としては、情報量や写真などの不足で物件サイトページや物件資料に魅力魅力を感じないといった期待と内容のズレがあり、問合せまで行かないというのもあるでしょう。
アットホームからの資料の最後に、他の不動産業者の状況がどうだったかの声を集めたものが載っていますのでその一部も少しご紹介します。
期間:2025年1月1日~1月31日
・今の学生が好む設備は「2階以上」と「独立洗面台」。最近では男性でも美容に熱心な方も多く身支度に十分なスペースの希望が高い。
・繁忙期が前倒しになっている印象
・エンドユーザ―が物件をかなり調べてから来店される。
・東南アジアを中心に外国籍の方の入居申込が増えてきている。
・学生からの問い合わせが各段位増えていて6~7万円台の物件が人気。
・新規契約のタイミングで4000~5000円値上げしていてもすぐに決まることが多い。
例年そうですが、この時期はやはり物件がすぐに埋まってしまうため弊社でも賃貸物件探しが大変でした。
グラフを見ると、反響率こそ基準年の2018年を下回っていましたが、問い合わせ数はコロナ後から例年伸びているのが分かりました。
弊社でも実際今年の繁忙期の問い合わせは多く、物件がすぐに埋まってきています。
このほかにも、アットホームが発行するデータには家賃動向や外国人世帯数の推移なども載っており、市場の流れを読むのに参考になります。
アットホーム以外でもネットで全国の賃貸動向が載っているので、物件選びの際に参考にするのも良いかと思います。