連載企画:「民泊をつくろう」(「ミンツク」) Vol.2

さて、前回は民泊の魅力や運営方法についてお話ししました。Vol.2ではいよいよ始め方について詳しく解説します!

申請に必要な書類や工事、物件の引き渡し、家具家電の準備など、実際に当社が行った手順をすべて公開します!

◆前回振り返り(Vol.1はコチラから)
賃貸よりも、高い収益がある。
出口としても、賃貸付けよりも民泊旅館業の方が高く売却できる

◆今回のご案内
・民泊の申請に必要なもの
・消防の事前相談

1:民泊申請

新たに、民泊・旅館業の魅力に気付かれた皆様。
全ての物件で旅館業・住宅宿泊事業の申請ができるわけではありません。

まずは、申請に必要な資料が手元にあるか確認です。

◆申請書類が手元にあるか?
新築物件であれば、当然に揃ってますし、揃ってない場合は追加で取得もできるかと思います。

ただ、オーナーチェンジで購入した場合には、資料自体が無い場合が多々あります。

以下の資料が整っているか、追加で作成することができるか、検討が必要です。
当社でも別物件で、購入後に全面リフォームした際に必要な図面を作り直した経験があります。

【旅館業・住宅宿泊事業の申請にあたり必要になる書類】
(図面)
・意匠図(平面図、配置図、立面図、正面図、側面図)
・電気系統、設備図
・給排水管図(縦系統図)
・ガス配管図(IH等オール電化の場合は不要)
・照明設備図(どこにどのような照明がついているか)

(書類)
・検査済証
・確認申請書(確認済証)
・入居者募集の証明書(マイソク)

(消防)
・消防用設備等着工届
・消防用設備等設置図(誘導灯・消火器・避難器具・自火報)
・防火対象物仕用開始届
・消防工事承諾書/防災証(フロアシート有の場合)/仕様書(カーテン設置有の場合)

 

(運営委託)
・住宅宿泊管理受託標準契約書
・住宅宿泊事業管理契約書
・旅館業・住宅宿泊事業の営業を許可する旨の承諾書
・賃貸借・転貸借契約書(新宿区)

(消防)・(運営委託)の項目については、発注先で準備が可能ですが、(図面)・(書類)に関しては、事前に有無を確認する必要があります。

◆どんな工事が必要なのか?
こちらは、民泊を開業する場所を担当している「保健所」および「消防署」に事前相談を行い確認することが必要です。

細かな部分については、担当する窓口毎に異なります。別の区ではOKだったものが、今回の区ではNGと言ったことも十分に発生します。

2:消防署での事前面談

今回、別物件で民泊事業の開始にあたり、消防署での事前相談に伺いました。
その中でのやり取りをいくつかご紹介します。

◆消防法上の用途確認

総務省消防庁 民泊における 消防法令上の取扱い等について 参照

消防法令上の用途は、消防法施工令別表第1で定められています。
・宿泊施設であれば(5)項イ
・共同住宅等であれば(5)項ロ
・複合用途防火対象物であれば(16)項イ
賃貸併用住宅の場合には、どの用途に該当するか非常に重要なポイントとなります。

順調に用途確認は進んでいきます。
単に横で聞いているだけの私でしたが、消防設備の確認時に聞いたことのない用語が飛び出します。

その名も「ムソウカイ」!!

ムソウカイって何?今回、皆様に「ムソウカイ=無窓階」についてお伝えできればと思います。

3:無窓階とは

消防法で定義する「無窓階」は、避難や消火活動の際に有効な開口部がない階のことを指します。

【防火対象物が10階以下の場合】
直径50センチ以上の円が内接できる開口部
・ 直径1メートル以上の円が内接できる開口部または幅75センチ以上かつ高さ1.2メートル以上の開口部が2つ以上
上記2つの条件に該当する開口部の合計面積を床面積で割り、その値が床面積の1/30以下となる場合は、無窓階になると定義されています。

無窓階の判定を受けると、主に以下のような影響が生じます。
・避難や消防隊の進入が容易でないため危険(人命被害の可能性が上がる)
・消防設備の設置基準が厳しくなる
・消防設備導入コストの負担が増える
⇒ 消防用設備を追加設置したり、それに伴う点検義務などが増えたりします。
例えば自動火災報知設備では、通常居室に熱及び煙感知器どちらでも設置できますが、無窓階では基本的に煙感知器しか設置できません。

煙感知器と熱感知器、その差はズバリ「価格」! 煙感知器は構造が複雑な為、熱感知器<煙感知器、価格差は、3倍近くあります。

用途確認後に、必要な消防設備の指示があります。
口頭での説明と共に「議事録的な用紙」= 「消防機関事前相談記録書」を頂きました。
・ カーテン、じゅうたん棟は、防炎物品を使用すること
・ 自動火災報知設備の感知器は、連動型警報機能付感知器とすること
・ 消火器、郵送等の設置が義務付けられていること
・ 避難経路図を掲示すること(多言語化)

相談を踏まえて、防災会社と協議して設備等の確定を行い、届出~検査に進む形となります。

次回は、もう1つの事前相談:保健所についておつたえできればと思います。
ご精読ありがとうございました。