今や賃貸物件の必須設備となった「宅配ボックス」。受取人が留守(または手が離せない)の時に、配送業者が荷物を預け、後から非対面で受け取れる非常に便利な設備です。しかし、現場では時として目的外の使われ方によってトラブルに発展することがあります。今回は、実際にあった意外なトラブル事例と、万が一の際の当社の運用手順についてご紹介いたします。

ある日、建物の入居者様より「宅配ボックスが常に満杯状態で、自分の荷物が受け取れません」とのご連絡をいただきました。
現地を確認したところ、長期間放置されている荷物があるものの、そこには「号室の記載」がありませんでした。通常、長期未受取の荷物に対しては、警告文を貼付した上で、最終的には玄関前へ「置き配」するなどの形で注意喚起を行います。
しかし、宛先不明の荷物の場合、特定の方へ届けることもできず、万が一「私物」だった場合は安易に移動や処分もできないという難しさがあります。
そこで、当社は防犯のために暗証番号を再設定して荷物を収納し、幸いにも外箱から中身を特定できる状況だったため「宅配ボックスが満杯となっていた経緯と、該当するお荷物についてお心当たりのある方はご連絡ください」と全住戸へポスティング(チラシ投函)を実施しました。
翌日、ある入居者様から「宅配業者様しか利用できないものとは思っていませんでした。仕事の都合で家を空けていたため、長期間占有する形になってしまい、ご迷惑をおかけし申し訳ありません」とのご連絡があり、該当者を特定。適切な利用方法を注意喚起した上で解錠番号をお伝えし、無事に解決へと至りました。


「暗証番号を忘れた」「通知された番号で開かない」といった入居者様からのSOSに対して、当社では、以下の手順で迅速・慎重に対応しています。
・【入居者様のヒアリング・本人確認】
ご契約者ご本人(または同居人様)であるかの確認と、ボックス番号の特定を行います。また、解錠後の荷物の取扱希望(玄関前への置き配か、暗証番号を再設定しての再保管か)についても事前に確認いたします。
・【現地での解錠作業】
ボックス番号が特定できない場合、全てのボックスを解錠して確認する必要があります。ご連絡をいただいた方以外の荷物も入っているため、写真撮影等で記録を残しながら細心の注意を払って対処します。
・【物件の仕様に応じた柔軟な対応】
オートロック対応物件の場合
原則、玄関前に案内文を添えて「置き配」を実施し、対象者様へ通知いたします。
オートロック非対応物件の場合
セキュリティの観点から置き配はせず、ボックスを再施錠した上で、対象者様へ新しく再設定した暗証番号をお伝えします。

今回は「宅配ボックスの私物化」として処理できましたが、ここには一つの盲点があります。大型のマンションに導入されているような、「配達員用の入れ口」と「入居者様の受取口」が壁を挟んで完全に分かれているタイプとは異なり、小規模な物件に多い独立型の宅配ボックスは、外部から誰でもアクセスが可能です。つまり、受取人が入居者でなくても「暗証番号」と「ボックス番号」さえ共有していれば、居住者以外の第三者間での「商品の受け渡し」などにも悪用できてしまうリスクを孕んでいます。入居者様のモラルに依存する部分もありますが、今回のようにトラブル発生時にスピード感を持って「全戸ポスティング」などの対応を行うことは、不正利用に対する強い抑止力になったと考えております。
宅配ボックスは入居率アップや顧客満足度に直結する有益な設備ですが、適正に維持・管理されて初めてその価値を発揮します。入居者様からの申し出を待つだけでなく、日常清掃や定期巡回時に宅配ボックスの稼働状況(長期放置がないか)をこまめに把握することが重要であると、改めて実感した事例でした。今後も快適な住環境の維持に向け、徹底した管理を行ってまいります。


