生成AIと更新時の賃料改定について

生成AIの進歩に伴い、文章の作成、資料の作成についやす時間が大幅に短縮され多くの企業がAIを利用しています。
2026年4月の調査の結果では日本国内における生成AIの個人利用率は約51%にのぼるというデータがあり特に10代~20代の若年層の利用率は約68%になります。
弊社でもAIシステムを導入して賃料査定を行っており、募集条件の決定や更新時の判断材料としてフル活用しています。
今後もAIの利用はますます当たり前になっていく見込みですが、一方で、オーナー様にとっても無視できない「AIを駆使した交渉」の事例がありましたのでご紹介いたします。

事例のご紹介

昨今、都心は地価の上昇に伴い更新のタイミングでは賃上げ交渉を行うことが多くなっております。
先日、ある借主様へ賃料増額のご案内を差し上げたところ、驚くほど理路整然としたお返事が届きました。

【借主様の主張(要約)】
・相場や税金の変動による改定は理解しているが、借地借家法に基づき「双方の合意」が必要なはず。
・改定の根拠となる詳細な資料を提示してほしい。

これに対し、弊社で周辺の成約事例をまとめた資料を提示したところ、わずか3時間後には次のような鋭い反論が返ってきました

【再回答のポイント】
・提示された事例は「駅からの距離」や「階数」が異なり、単純比較はできない。
・本物件特有のマイナス要因(玄関が外に面している、雨除けの庇が短い、上階の生活音が響きやすい構造である等)を考慮すると、今の賃料が妥当であり、増額の合理性はない。

管理会社の査定の隙

正直に申し上げまして、不動産会社が得意とする「相場調査」に対し、借主様側からこれほど具体的かつ「建物の構造上の弱点」を突いた指摘が即座に返ってくることは、思っておりませんでした。
おそらく、予備知識のない借主様が数分でこれだけの論理を組み立てるのは難しく、生成AIを利用して「管理会社の査定の隙」を突いてきたのではないかと強く感じています。

不動産管理会社の得意分野 = 周辺の募集・成約事例の分析
不動産管理会社の苦手分野 = 類似事例の少ない建物の個別事情

AI 対 AI

最近では、特に外国籍の入居者様など、AIを活用して交渉に臨まれるケースが目に見えて増えてきました。
私たちもAIを駆使して反論を組み立てる場合があり、現場はまさに「AI対AI」の知恵比べのような状況を呈しています。
おかげさまで、弊社の賃料増額成功率は近年90%以上を維持しております。
しかし、今後は借主様側もAIを使って「的を射た反論」を簡単に作れるようになるため、これまで通りの交渉が通用しなくなる恐れがあります。

AIの登場で、誰でも少ない労力で専門的な知識を引き出せる時代になりました。
弊社といたしましても、AIを使いこなすのはもちろんのこと、さらにその一歩先を行く「緻密な裏付け」「鑑定理論に基づいた知識」を積極的に身に着け、これまで以上に粘り強く努力を続けていきたいと思います。