先日、収益物件の購入を検討されている投資家の方とお話しする機会がありました。
これまで木造アパートを中心に購入し、家賃収入を積み上げてこられた方です。
次の物件についても具体的に検討されていましたが、最近は以前ほど積極的に買い進められなくなったとおっしゃっていました。
理由を伺うと、物件価格が高いことに加え、やはり気になるのは金利とのこと。
「数年前なら、このくらいの利回りでも十分にキャッシュフローが出ていた。でも、今の価格で金利まで上がると、思ったほど手元に残らないんですよね」
この言葉が、今の不動産投資市場をよく表しているように感じました。
不動産投資では、物件価格や表面利回りを重視する方も多いと思います。
しかし、融資を利用する場合、金利が変われば毎月の返済額も変わります。
例えば、借入金額が1億円、返済期間35年の場合、元利均等返済で金利が1.5%から2.5%に上がると、毎月の返済額は約30.6万円から約35.8万円へ増加します。
年間にすると約62万円の差です。
年間の手残りがこれだけ減れば、修繕費の積み立てや次の物件を購入するための資金にも影響します。
もちろん、保有物件の賃料を上げられれば吸収できる可能性はあります。
ただし、賃料は金利のように自分の都合だけで変更できるものではありません。
周辺相場や入居者の需要も考える必要があります。
これまで問題なく回っていた収支計画でも、前提条件が変われば見直しが必要になります。
こうした変化は、購入を検討する投資家だけの問題ではありません。
買主が求める収益性や融資条件が変われば、売却価格にも影響する可能性があります。
売主としては、これまでの成約事例や周辺相場を参考に、できるだけ高く売りたいと考えるのが自然です。
一方、買主は購入価格だけでなく、借入返済後にどれだけ手元に残るかを厳しく見るようになります。
売主が希望する価格と、買主が投資として成立すると考える価格。
その差が大きくなれば、販売期間が長引くことも考えられます。
ただし、金利が上がれば必ず不動産価格が下がるというわけではありません。
賃貸需要の強いエリアや、収益性に優れた物件は引き続き評価されるでしょう。
今後は物件ごとの収益力や立地によって、差が出やすくなるのではないでしょうか。
私自身、こうした話を聞くたびに、新しい物件を探すことと同じくらい、現在保有している物件の収支を把握しておくことが大切だと感じます。
借入金利や返済条件、今後必要になる修繕費、空室が発生した場合の収支など、一度整理してみるだけでも、見えてくるものはあるはずです。
金利の動きを自分で変えることはできません。
しかし、余裕を持った資金計画を立てることや、購入・保有・売却のタイミングを検討することはできます。
これまでの成功体験が、これからもそのまま通用するとは限りません。
金利や物件価格の動向を注視しながら、目先の利回りだけでなく、長期的に安定した収益を確保できるかという視点で、不動産投資を考えていく必要がありそうです。


