「市が持っている道路」でも公道じゃない?知っておきたい認定外道路

市有地でも「公道」ではない?認定外道路の法的定義と罠

不動産登記簿や公図を確認した際、土地の所有者が「〇〇市」や「国」と記載されていることがあります。
文字通り行政が所有している土地ですが、これらがすべて法律上の「公道(認定道路)」にあたるわけではなく、実際には道路法の適用を受けない「認定外道路」である場合もあります。

【行政が関わる道路の分類イメージ】
●認定道路(道路法上の道路:市道、県道など)
●認定外道路(道路法によらない道路:市有の里道や法定外公共物)

1. 道路法による道路(認定道路)とは
道路法に基づく手続きを経て、国や地方自治体が「路線認定」した道路を指します。
これらは道路管理者である国や地方公共団体が維持・修繕等の管理を行います。

2. 認定外道路(法定外道路)とは
道路法の適用を受けない道路の総称です。
代表的なものに、歴史的な経緯から存在する「里道(りどう・通称:赤線)」があります。

3. なぜ市有地なのに認定外なのか?
明治時代からの里道などは、地方分権の推進に伴い、2000年(平成12年)から2005年(平成17年)にかけて、国から各市町村へ法定外公共物として譲与されました。
しかし、これらは道路法上の道路ではないため、市町村が所有・管理していても、道路法上の市道として路線認定されているとは限りません。

行政が管理していない場合のリスク例

市が管理していない認定外道路に面した物件を所有する場合、投資家がダイレクトに被るリスクは以下の通りです。

● 路面舗装の劣化放置
アスファルトがひび割れたり、穴が空いたりしても行政による補修が行われるとは限りません。
放置すると入居者の怪我や車両の破損に繋がり、管理状況や事故の原因によってはオーナー等の責任が問われる可能性があります。

● 私費による補修義務
通行の安全を確保するためには、道路を利用している周辺住民や物件オーナーが修補費用を負担するケースがあります。

●災害時の対応遅延
大雨で側溝が溢れたり、土砂が流入したりした場合も、行政による迅速な復旧作業が行われるとは限りません。
投資物件が孤立するリスクを孕んでいます。

市の土地なのに費用がかかる?上下水道の「占用料」と工事のルール

「市が所有している道路なら、水道管の工事や管理も市がやってくれるのでは?」と思ってしまいがちですが、市が所有する認定外道路は、「法定外公共物」として扱われるものがあります。
そのため、この道路の下に新しく上下水道管を埋めたり、古い管を直したりする場合、以下のようなコストや手間がオーナーの負担になります。

● 「法定外公共物占用料」が発生する場合がある
道路敷地内に個人の給排水管等を設置する場合、自治体の条例等に基づき占用料(土地の使用料)が発生するケースがあります。
占用料が発生する場合には、継続的な費用負担となることもあります。

● 工事費用を利用者側が負担するケースがある
道路内に設置された給排水管についても、所有者や管理者によって修繕費用の負担者が異なります。
市が所有・管理する管でなければ、所有者側で修繕費用を負担する場合があります。

● 行政ならではの「きっちりした手続き」
工事内容によっては、市役所等へ法定外公共物の占用・使用・掘削に関する申請や協議が必要となります。
個人の私道のように「ハンコ代を払えばすぐ掘れる」というわけにはいかず、書類の準備や役所の手続きに一定の期間を要することがあるため、計画的なスケジュール管理が必要になります。

行政所有でも変わる「道路づけ」と物件価値の関係

不動産投資において「不動産は立地と道路で決まる」と言われるように、敷地がどのような道路に面しているか(道路づけ)は重要な要素です。
物件を選ぶ際、多くの場合「建築基準法上の道路にあたるか(建て替えができるか)」という点に注目が集まります。
もちろんそれは重要な確認事項ですが、それと同じくらい見落とせないのが、「行政が所有していても、道路法上で認定されているかどうかという視点です。

いくら行政(市や県など)が所有し、建築基準法上の要件を満たして建て替えが可能な道路であっても、道路法上の認定道路ではない場合には、道路の管理形態や占用・掘削の条件によって、路面の補修費用や上下水道の占用料など、通常の認定道路とは異なる費用負担が生じる可能性があります。

● 維持費の有無による価値への影響
将来の買主や金融機関によっては、道路の管理形態や維持管理費、占用関係等が確認され、物件評価に影響する可能性があります。

● 融資(ローン)への影響
金融機関が担保評価を行う際にも、この道路法上の認定の有無は影響を与えます。
「市や県が所有していても、行政が道路として管理していない」という状況に対しては、将来のインフラトラブルを警戒して融資の条件が厳しくなるケースがあり、これは将来物件を売却する際の流動性(売りやすさ)にも繋がってきます。

【道路づけを確認するうえで重要な2つの視点】
建築基準法上の視点: 行政所有の道路を使って、建物の建て替え(再建築)ができるかどうか
道路法上の視点(認定の有無): 行政所有であっても、道路の管理形態や維持管理費、占用・掘削等の条件に問題がないかどうか

このように、「行政の土地だし、建て替えができるから安心」という建築基準法の視点だけでなく、「行政が道路法に基づいて管理する認定道路かどうか」という視点も合わせて接道状況を確認することが、長期的な維持費を抑え、安定した資産価値を持つ物件を選ぶための大切なポイントとなります。

まとめ

「市有地だから安心」でも、「認定外道路だから危険」でもありません。
重要なのは、その道路がどの法律上の位置づけにあり、誰が所有し、誰が管理し、将来の通行・掘削・維持管理について誰が費用を負担するのかを確認することです。
不動産の「道路づけ」を確認する際には、単に「公道か私道か」だけを見るのではなく、所有関係・道路法上の認定・建築基準法上の道路該当性・管理者・占用や掘削の条件まで確認することが重要です。