夏本番を迎えると、入居者様から「エアコンの風がぬるい」「冷房を入れても部屋が涼しくならない」といった設備トラブルのご連絡が増える時期になります。
実はエアコン機器自体の故障ではなく、「室外機の設置環境」が原因で冷房機能が著しく低下する現象があります。
よくある事例:直射日光による加熱
マンションの屋上や直射日光が当たる南向きに壁付けで設置された室外機等は、直射日光を受け、天板が60℃近くまで熱せられることで熱交換能力が大幅ダウンします。
ホームセンターにて、室外機用の日よけカバー(天板用)を取り付けることで改善があるかと思います。
今回は、この直射日光とは異なる原因で発生する「ショートサーキット」についてご案内いたします。
ショートサーキット(熱の短絡現象)とは、エアコンの室外機が「自分で吐き出した熱風を、そのまま再び吸い込んでしまう現象」のことです。
エアコンの冷房は、「室内機が部屋の熱を吸い取り、パイプを通して室外機から外へ熱を吐き出す」という仕組みで動いています。
本来なら外へ逃げるはずの熱風が、狭い敷地や正面の壁(隣家の壁など)に当たって跳ね返り、室外機の周囲に溜まってしまうことでショートサーキットが起こります。
室外機の周りがサウナのような猛暑状態(40〜50℃以上)になるため、機器の安全装置が働いたり、熱を捨てる効率が激減したりして、エアコンから冷たい風が出なくなってしまいます。
| 室内機 | 室外機 | |
| 正常な状態 | 部屋の熱を吸う | 熱を外に捨てる(熱が自然と外の空気へ逃げる) |
| ショートサーキット | 部屋の熱を吸いきれない | 熱風が壁に跳ね返り、熱を捨てられないまま室内機へ戻る |
今回、事例としてトラブルの例を一つ紹介します。当社の管理物件(新築マンション)では、計画時に公道側へ室外機の設置を予定しておりました。しかしながら近隣への説明会の際に「公道が通学路の為、子供にとって危険」との理由で設置ができず、止む無く隣地境界の壁に向き合う形で室外機を設置することとなりました。
結果として、まさに「外に逃げるはずの熱風が、正面の壁に当たって跳ね返り、室外機の周囲に溜まってしまう」状況が発生してしまったのです。
ショートサーキットの解消方法として、以下の3案を検討しました。
【1】風向調整ルーバーの装着
室外機の前面(吹き出し口)に、風の向きを変える板(ルーバー)を取り付けます。
横や斜め上に向かって風を逃がすことで、正面の壁に直接熱風が打つかるのを防ぎ、跳ね返りをカットできます。
【2】室外機の壁面設置(高さを出す)
正面の壁よりも高い位置に室外機を壁面設置させることで、熱風の溜まりを解消する方法。元ある位置の高さを変更する作業となるため、完全な移設と比較するとスムーズです。
【3】室外機の移設
近隣の許可を得て、台数を限定する形で室外機を公道側に移設する方法。
室外機カバーなどで手に触れない対策を実施し、ご理解を求めます。
現地調査・現場検討の結果
案【1】現場検討を実施しましたが、スペースの都合上取り付けできる状況ではありませんでした。
案【3】敷地内から地先境界ブロック(コンクリート製の縁石)を超えてしまう状況であることが判明し、採用不可となりました。
⇒ そのため、現在は最も現実的かつ効果が高い「案【2】(壁面設置による高さ変更)」にて、空調設備業者へ見積もりを依頼し、改善を進めております。
新築やリフォーム時、近隣への配慮や敷地の制限(通学路、狭小地など)から、どうしても室外機の設置場所が制限されるケースは少なくありません。
「エアコンが効かない=機器の初期不良やガス漏れ」と断定せず、「室外機の周りに熱がこもっていないか?」を確認することが早期解決のカギとなります。
引き続き、入居者様が夏場を快適に過ごせるよう、施工業者や専門業者と連携しながら、現地の配置に合わせた最適な改善をご提案・対応してまいります。


